砂糖電池について
砂糖などの炭水化物から電力を引き出そうという試み自体は以前より取り組みが行われており、日本でも松下電器産業などが研究を進めているという。
米国化学会の第233回総会でセントルイス大学のShelley Minteer博士は砂糖で充電できる燃料電池の開発が順調に進められていると発表した。
Minteer氏が開発する燃料電池はジュースから樹液に至るまで、あらゆる糖分を原料にして充電が可能で、1回のフル充電で一般的なリチウムイオン電池と比較して最高3~4倍のバッテリ性能を引き出せるという。
これまでも生物界においてはブドウ糖がエネルギー源となっていることが知られてきたものの、実際のバッテリ開発で同様の原理を応用しようとする研究はまだそれほど進んでいないとのこと。
砂糖を用いて充電する電池開発は今回が世界初ではないとされるものの、現在同氏が開発する燃料電池はバッテリ性能および持続時間などの面で最も優れているという。
生物学と化学の原理を応用することによって、より環境にも優しい高性能なバッテリを造れることが示されたと同氏は語っている。
ちなみに発電時の化学反応から生じる副産物は基本的に水のみであるという。
すでに同氏はブドウ糖、ジュース、樹液など、糖分を含む多彩な原料での燃料電池充電に成功しており、切手サイズのプロトタイプバッテリで、小型計算機への電力供給が行えることも実証済み。炭酸水も利用可能だが炭酸成分によって充電効率が落ちてしまうため、気の抜けた炭酸水を用いるほうが望ましいとされている。なお、最も充電効率の良かった原料は砂糖を水に溶かして作られた砂糖水だったという。
今後も同氏は気温の違いが燃料電池に及ぼす影響などを調査して、バッテリ性能および寿命の向上を図る研究開発を継続。3~5年以内の実用化が目標に掲げられており、まずは携帯電話チャージャなどの分野における活用が目指されるようだ。
もしこれが商業的にも利用可能なレベルにまで発展すれば、環境にも配慮の行き届いた電池となるだろう。
以上砂糖電池についてでした。